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屈折異常のあるなしにかかわらず、加齢とともに誰でも老眼になります。
しかし老眼を自覚なさる年齢や、老眼鏡が必要になる年齢には個人差があります。
あの人より私の方が若いのにどうして・・・なんて思った事ありませんか?
近視の方がシニア世代になると「手元が見づらいときはメガネをはずせばちゃんと見える」ということがあります。
また、近視を弱めに矯正すると、弱めた分だけ手元が見やすくなります。
そこで起こる勘違いが「俺はまだ老眼じゃない、手元も見える」というものです。
きちんと検査をしてメガネの度数を確認する必要はありますが、実はいずれも老眼の始まりなんです。
老眼を自覚なさる、あるいは老眼鏡が必要になる時期は個人差があります。
・手元の作業が多いか、少ないか
・手元の作業距離が長いか、短いか
・「はっきり見えないと困る」か「多少のボヤケは気にならない」という満足度の違い
などにより、40才前後で必要になる方、50才過ぎても必要としない方など様々です。
老眼鏡を使い始めるのは年齢順とは限りません。ライフスタイルが違えば当然なのです。
不自由を感じたら「適正に調製された老眼鏡」を使いましょう。
「眉間にシワ」「眼を細める」「腕を伸ばして見る」・・・どれも老眼と白状してるようなものです。
手元が見づらいのに老眼鏡を使いたがらない方がいらっしゃいます。
・「メガネをかける」「メガネを持ち歩く」のが面倒
・ルーペで代用する
・老眼鏡をかけると老眼が進行する
・どうせ度が変わるから進行が止まるまで老眼鏡は作らない
お気持ちはわからないではありませんが、「見たいものにピントを合わせるのが老眼鏡」「見たいものを大きく見せるのがルーペ」と、用途が異なります。また、老眼は加齢による現象ですから、どうやっても進行は避けられません。目薬に頼るのも限度があります。
「○○で老眼が治った」なんてのがありますが、本当ならすごいことです。若返るのですから。
「老眼」イコール「もう若くない」「ダサい」と感じるのかもしれませんが、それは老眼鏡の選び方、使い方ひとつで変わります。
「どうせ老眼鏡だから」なんて思わずに、カッコ良くかけませんか? 老眼鏡は手元(近方)を見るときに使いますから「近用メガネ」ともいいます。
遠くを見る時や歩く時は、はずさないといけません。
「メガネのかけはずし」は面倒なだけでなく、いかにも「老眼」と見られがちです。
それを解消するのが「遠近両用メガネ」で、ひとつのメガネで遠くも近くも見えて便利です。
レンズ上部が遠方を見るための遠用部、下方が手元を見るための近用部です。
遠方を見る「遠用度」に、手元を見るのに必要な度数を加えると「近用度」になります。
この場合、加えるのはプラス度数(凸レンズ)で、「加入度」といいます。
『遠用度+加入度=近用度』という計算になります。一般的に、加齢とともに加入度は強くなります。
無段階的に度数が変化するメガネレンズです。
遠方は遠用部、中間距離は中間部、手元は近用部を通して見ますが、はっきりとした境目はなく、上方から下方にかけて度数が徐々に変化する部分(累進帯)があります。
累進レンズは、設計上やむを得ない「歪み」や「ぼやけ」が発生します。
それを少なく、装用者が不自然に感じないようにするのがレンズメーカーの技術力と、眼鏡技術者の腕の見せ所です。
遠近累進以外にも、中近累進、近用累進レンズがあります。
累進レンズに対し、遠用部と近用部にはっきりとした境目があるレンズ。
二重焦点レンズとも呼ばれています。
一目で遠近両用とわかってしまうこともあり、現在では少数派です。
累進レンズのような収差補正による「歪み・ぼやけ」がなく、遠用部も近用部も鮮明な視野が得られますので、累進レンズに馴染めない方などには支持されています。
今ではほとんど見られなくなりましたが、中間部を設定したトライフォーカルもあります。
遠方重視。
「遠近両用」と言うと、このタイプを指すことが多いです。
その名の通り、遠方から手元まで見ることが出来ます。中間から手元の見える範囲はあまり広くないので、パソコン作業や読書などのデスクワークでは物足りなさを感じる事もあります。 中間から手元を少し広めにした設計もあります。
室内重視。
遠近に比べ、遠方の見え方は劣りますが、テレビ、料理、パソコンや読書など、室内での見え方は良くなります。屋外での使用も考慮した設計、より手元を重視した設計もあります。屋外でも使いたいが室内での生活が多い、という方には遠近累進より使いやすい場合もあります。
手元重視。
手の届く範囲をカバーします。単焦点老眼鏡では味わえない
ワイドな見え心地。読書はもちろん、パソコン、生け花、将棋などにおすすめです。一定の距離を長時間見るには単焦点老眼鏡の方が向いています。テレビ、歩行は原則不可。
遠方と手元重視。
遠近累進に比べ、遠用部も近用部も広く鮮明な視野を確保できます。プリズム作用の違いにより、遠用部と近用部の境目で目標物の位置がズレて見える「イメージジャンプ」と呼ばれる現象が見られます。
遠方が周辺までクリアに見える特長を生かしたゴルフ専用バイフォーカルもございます。
どのタイプもそうですが、はっきり見える距離と範囲は、度数の決め方(処方)で変わります。
お使いになる目的や環境は十人十色ですから、ていねいなコンサルティングが不可欠なのです。
遠近両用メガネになかなか馴染めない方もいらっしゃいます。
視線の使い方はマスターしていただくしかありませんが、レンズの設計と、眼鏡技術者のテクニックで「歪み・ぼやけ」を少なく(感じにくく)することが出来ます。
一般的に、遠用度数が同じなら加入度が強くなるほどクリアに見える範囲は狭くなります。
加入度は年齢が若いほど弱くて済みますから、使い始めるのが40代前半と50代後半では慣れやすさが違います。
遠近両用メガネは老眼初期にかけ始めるのがおすすめです。
累進屈折力レンズは、おおむね下図のように収差が発生します。白い部分は収差が少なくクリアに見える部分、色の濃い部分ほど収差が強くなります。
加齢により加入度が強くなると、今までと同じグレードのレンズなのに「歪みが増えてクリアに見える範囲が狭くなった」となる可能性があります。
◀ ◀ ◀ 加入度が弱い方が収差が少なく、クリアに見える範囲が広い
加入度 弱 |
加入度 中 |
加入度 強 |
加入度が強くなるにつれ、クリアに見える範囲が狭くなる ▶ ▶ ▶
では加入度が強くなったらどうしたらいいのでしょう?
累進レンズの「歪み・ぼやけ」は、より高度なレンズ設計で少なくすることができます。
屈折度や加入度がさほど強くなければ、旧タイプの、比較的お求めやすい価格のレンズで十分かもしれません。
しかし、加入度が強くなったり、「なるべくすっきり見たい」というのであれば設計の新しいレンズのほうが満足度は高くなります。
レンズの価格の違いは、素材やコーティングの違いだけではありません。
衣服に例えれば、同じ生地でも既製品よりオーダーメイドのほうが着心地が良く、さらに同じオーダーメイドであっても、仕立て技術の差が影響するでしょう。
メガネも同じ事が言えます。
「薄型遠近両用レンズも加算料金なし」というのは「価格に見合ったもの」なのです。